【どっちがヤクザ】警察「おら開けんかいゴラァ！！」

「開けんかい！」高級住宅街の一角で、怒鳴り声が上がった。6月28日、邸宅の前には捜査員約50人が詰め掛け、扉が開くのを今か今かと待っていた。

〝高圧的〟な捜索で知られる大阪府警ではない。六代目山口組総本部を管轄する兵庫県警だった。

県警が集結した先は、愛知県内にある司忍六代目の自宅。〝聖域〟といわれる場所で、しかも司六代目本人の在宅を狙った上で、家宅捜索を仕掛けたのだ。

「インターホンを鳴らしてしばらくすると、ガレージのシャッターが開いたそうや。そこに停められとった司六代目の愛車は、エンジンが掛かった状態やったらしい。つまり、外出寸前やったんやな。念のためか、県警は車止めを設置して出られんようにしたくらいで、かなり気合が入ったガサやったようや。まさに〝急襲劇〟やな」（ベテラン記者）

家宅捜索は約1時間に及び、その間、県警は司六代目とも〝対峙〟したという。これこそが、本当の目的だったとみられる。

「神戸山口組（井上邦雄組長）が被害に遭う事件が再び頻発しとるから、抑止の意味も含めて強引なガサを打ったんやないか。事件に関連するような物証など、司六代目の自宅から出るわけないんやし、県警の目的はハナから本人との面談やったように思うで」（同）

家宅捜索の容疑は建造物損壊で、井上組長宅への発砲事件（6月5日）に関するものだった。この事件では、三代目弘道会（竹内照明会長＝愛知）の野内正博若頭率いる野内組の林雄司組員が再逮捕されていた。

ただ、兵庫県警が司六代目の自宅を家宅捜索したのは、山口組の分裂後では初めてだという。

「大掛かりなガサの情報は、警察の市民へのアピール目的で、事前にマスコミにも漏れ聞こえてくるもんやが、今回は一切把握できんかった。兵庫県警は、管轄外の愛知県に越境しとるのにやで。通常、他県にガサを打つ場合は、管轄先に連絡を入れるそうやが、今回はそれも直前やったらしい。大阪府警がよくやる手法やが、兵庫県警がこんな抜き打ちのガサを敢行したんは、聞いたことがないで」（同）

さらに兵庫県警は、六代目山口組・髙山清司若頭の自宅と弘道会・竹内会長、野内若頭の自宅も家宅捜索している。

「いずれも抜き打ちやったそうや。兵庫県内では、まだ五代目山健組（中田浩司組長＝兵庫神戸）が神戸山口組傘下やったとき、職務質問中の警察官の目の前で弘道会系組幹部が組員2人を射殺する事件（令和元年10月）が起きとる。井上組長宅への発砲も、警察官がパトカーに乗って警戒中やったのに発生したんや。兵庫県警としては、面子を潰されたようなもんやろ。せやから、異例ともいえるガサは、怒りもあってのことやったんとちゃうか」（同）
つづく
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